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地震や火災など大きな災害に被災してしまった・・・

事故や事件に巻き込まれてしまった・・・

交通事故を目撃してしまった・・・

大切な人を亡くしてしまった・・・

大切なペットを亡くしてしまった・・・

このように本人にとってショックな出来事を経験すると、
その直後から心と身体に特有の症状が出てくることがあります。

これを急性ストレス障害(ASD:Acute Stress Disorder)と言います。
(世界保険機関では急性ストレス反応・ASRと言います)

この反応は通常、数日から1ヶ月程度で自然に治まりますが、
体験した本人にとっては非常に苦しい症状となります。

このページでは、今感じてらっしゃる症状や苦しい気持ちがなぜ起こるのか、
回復のプロセスと対処法についてお伝えします。

災害・事件・事故後の急性ストレス障害(ASD)

大きな出来事を経験した後、心と身体に特徴的な症状が現れます。
これらは「症状」または「反応」ですから、本人の意志とは関係なく自然に現れます
もし症状が現れても異常ではないことを覚えておきましょう。

代表的な3つの症状

  • 追体験(侵入的想起)
    ショックを受けた出来事が繰り返しはっきりと思い返されたり、悪夢を見たりする。フラッシュバックとも言う。
  • 回避
    ショックを受けた出来事に関する物事を避けようとする。
  • 過覚醒
    神経が高ぶった状態が続く。不眠や不安、イライラなどが強く現れる。

追体験(侵入的想起)の例

  • ふとした瞬間にショックを受けた出来事のイメージ・臭い・音などの感覚をはっきりと体験する
  • 出来事の夢を見てうなされる
  • 出来事に関連する場面や人物の夢を見てうなされる
  • 出来事のことがどうしても頭から離れない

回避の例

  • 感情が麻痺したように何も感じない
  • 出来事のあった場所や人に近づけない
  • 出来事を思い出させるようなことができない
  • ある時刻が怖い

過覚醒の例

  • 眠れなくなる。眠りが浅くなる
  • イライラして落ち着かない
  • ちょっとした物音や動きに敏感になる
  • パニックを起こす
  • 動悸がする
  • 冷や汗をかく

過剰なストレスによるその他の症状

上記の3つの症状の他に、過剰なストレスによってうつ状態に似た症状が現れることがあります。

  • 頭痛、首の痛み、肩こりな、胃痛、下痢が続くなど身体的な痛み
  • ケアレスミスをする、集中できない、やる気がおきないなど思考力の低下
  • 「自分も悪かったのではないか」という罪悪感
  • 「何もできなかった」という無力感
  • 自分が自分でない、壊れた感じ
  • 今の状態がずっと続くのではないかという不安

これらの症状が全て現れるわけではありません。
今出ていない症状がこれから出てくるというわけでもありません。
ショックに対する反応は個人差が非常に大きいため、同じ出来事を経験しても症状が出る人と出ない人がいます。
精神的な弱さから症状が出るわけではないことを覚えておきましょう。

症状は危険に対する自然な防衛反応

なぜ上記の症状が現れるのでしょうか。

それは、危機に直面したことで防衛センサーのスイッチが入ったからとお考えください。

私たち人間には生命に関わる危険を感知する防衛センサーが備わっています。

例えば、火に触ったら熱いと感じて無意識に手を引っ込めます。
そして次から火に触らないよう用心するようになります。
ボールが自分に向かって飛んできたり、虫が目に飛んできたりすると、無意識に姿勢を変えたり目をつぶったりして身を守ろうとします。

このように人間は危険に対して学習し、次から無意識に身を守るようになります。
さらに危険を感じる状況では防衛センサーが働いて、「あらゆるものを見落とさないように」「どんな音も聞き落とさないように」感覚を研ぎ澄ませて危険に備えるようになります。
こうして、全身の神経が緊張状態になることが防衛センサーのスイッチが入った状態だとお考えください。

防衛センサーは私たちを緊張させ、その緊張によって危険を知らせてくれるというわけです。

例)街灯のない暗い夜道を一人で歩くとき、自然と体中に力が入り、神経が研ぎ澄まされたようになります。そこが事故や事件のあった場所だと知っている場合、さらに強い緊張状態となります。
この状況では、防衛センサーがオンになり、私たちに「油断するな」と知らせてくれているのです。

防衛モード:防衛センサーがオフにならないとき

通常、危険が去ってしまえば防衛センサーは自動的にオフになります。
同時に緊張状態も解けて心身ともにいつもの状態に戻ります。

しかし、しばらく防衛センサーがオフにならないことがあります。

受けたショックが大きすぎるような危機に直面すると、防衛センサーはしばらくオンになりっぱなしになるのです。

  • 生命の危機を感じさせる事件・事故を体験・目撃した
  • 尊厳を傷つけられるような体験をした
  • 身近な人や家族、ペットを失った

このような大きな出来事によって、防衛センサーはオンになり、しばらくは本人を守るために防衛モードが続きます。

危険から身を守るという観点で、もう一度代表的な3つの症状を確認してみましょう。

  • 追体験・・・同じ危険に2度と遭わないため、何度も思い出す
  • 回避・・・同じ危険に2度と遭わないために、似たような物事に近づかない。考えずに素早く行動を起こすため、感情的を麻痺させる
  • 過覚醒・・・危険に対処できるよう、緊張感を持続させる。眠らせない

いかがでしょうか。
防衛モードは適切に身を守ろうとして自然と起こる反応です。
あなたが壊れてしまったわけではありません。

緊張状態を続ける必要のない安全な状況であれば、徐々に症状は軽くなります。
通常は1ヶ月もすれば自然と落ち着くでしょう。

回復のプロセス

最初は強い症状が出たとしても、通常は2週間程度でだいたい体感的に半分くらいに弱まり、1ヶ月程度でほぼ落ち着いてきます。

しかし、残業が重なっていたり、介護や家庭の事情などで疲労が蓄積していると、なかなか症状が軽くならないことがあります。
以前に同じような出来事を経験していても、症状が軽くなるのに時間がかかることがあります。

その場合でも疲労に適切に対処することで、自然と回復していきます。

つらい症状の乗り越え方

自然と症状が治まるといっても、このままの状態が続くのはつらいものです。
つらい症状や気持ちをやわらげていく方法を紹介します。
ご自分に合いそうなものを試してみてください。

リラクゼーションの技法
(特に呼吸法)

防衛モードのときは無意識に緊張しています。積極的に緊張を和らげることで「危険でない」という情報を脳に伝えます。
さまざまなリラクゼーション技法の中でも呼吸法は訓練無しでいつでも使えるのでおすすめです。
  動と静で使い分ける2つの呼吸法

気持ちを聴いてもらう

くるしい気持ちを抱え込まずに誰かに伝えるだけで落ち着いてきます。相手はじっと耳を傾けてくれる共感的な人か、プロのカウンセラー、精神科医などが良いでしょう。
出来事についての今の気持ちや現実的な悩みを聴いてもらいます。
出来事を無理やり聞こうとする人に話すと悪化する可能性がある(※)ので注意しましょう。

日記をつける

自分の気持ちを文章にしてみると気持ちが落ち着くことがあります。
形式はなんでもよく、書きなぐりでもかまいません。
まずは抱えている気持ちを外に出してみましょう。

軽めの有酸素運動

30分から50分程度の軽めの有酸素運動はリラックスとストレス解消に役立ちます。同時に睡眠の質を上げ、疲労回復にも効果があります。
疲労感に応じて運動の種類と量を調節します。
◯激しい疲労があるとき:呼吸法やマッサージ
◯はっきりと疲労を感じるとき:ストレッチやヨガなど静的な運動
◯やや疲労を感じるとき:ウォーキングや軽いジョギングなど動的な運動
過度な運動や深夜の運動は逆にストレスホルモンが増加しますので注意してください。

医療の力を借りる

どうしても眠れないなど、つらい症状があるときは、医療の力を借りるのもひとつの方法です。かかりつけのお医者さんに相談してみましょう。つらさを我慢する必要はありません。

※出来事を話すとトラウマ的体験を頭のなかで繰り返すことになります。
すると、結果的にその出来事が記憶に強く刻まれてしまい、かえって症状が悪化する可能性があります。
出来事について詳しく話す相手は、信頼できる親しい人か、聴きながらケアも同時にできる専門家が良いでしょう。

1ヶ月たっても症状が軽くならないとき

災害・事件・事故から1ヶ月を過ぎても症状が軽くならない場合、医療の専門家による治療(PTSDの治療)が必要になることがあります。
全国の精神保健福祉センターや保健所に問い合わせてみてください。
近隣の医療施設を紹介してくれます。

特に、この時期に今まで感じたことのないようなひどい不調を感じたときは、できるだけ早く医療機関で診察を受けてください。
対処が早いほど回復までの期間が短くなります。

当相談室もつらい時期を乗り越えるお力になれます。
よろしければご利用ください。

電話・対面カウンセリングをご希望の方はこちら

かしわふれあい相談室では災害・事件・事故の後のつらい症状に悩む方へのカウンセリングを行っております。

「あのとき何もできなかった」
「自分が悪かったのではないか」
「自分にも責任があったのではないか」

このような罪の意識や無力感をケアしながら体験を聴かせていただくことで、
今感じている苦しさを和らげていきます。
ASDの症状の乗り越え方も一緒に考えていきます。

お申し込みはご予約フォームまたはお電話にて承ります。
※お急ぎの場合はお電話ください。

  カウンセリングご予約フォーム

電話番号:
04-7105-0395(平日10時〜21時)

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